帰化と家族関係証明書

1.帰化申請に必要な範囲

帰化申請に必要な人的範囲は、本人、父母、 子、 兄弟姉妹、 配偶者、その他 です。
現在生存している者に関しては現在戸籍にあたる基本関係証明書、婚姻関係証明書、家族関係証明書、入養関係証明書及び親養子入養関係証明書が必要です。なお、死亡者は死亡時の戸籍(もしくは死亡の記載のある基本関係証明書)が必要となります。
上記の全ての人が生存していて、現在の各種証明書に記載されていれば、除籍謄本を取り寄せ・翻訳する必要がなくなるので非常にラッキーです。20代、30代等若くして帰化する方は父母等が生存していることが多く、韓国除籍謄本を一切取得する必要がないケースも結構あります。

 

2.本人の家族関係証明書

帰化申請者本人の現在戸籍にあたる基本関係証明書、婚姻関係証明書、家族関係証明書、入養関係証明書及び親養子入養関係証明書が必要です。
但し、在日韓国人の方で、日本で出生された方は韓国に出生申告がなされていない場合もあり、そのケースですと帰化申請者本人の家族関係登録が本国にないこともあります。
その場合、韓国領事館等でさかのぼって出生申告をすることも可能ですが、帰化申請の手続きの場合、日本の市区町村役場に届出の「出生届記載事項証明」をもって基本関係証明書の代用とし、(本国に戸籍がない状態で)許可を受けることもできます。

3.父母の家族関係証明書

父母については婚姻関係証明書と家族関係証明書が必要です。そして最も複雑な問題になりやすいのがこの父母の家族関係証明書です。
父母が婚姻した際にきちんと韓国に婚姻申告をしていれば同じ婚姻関係証明書(か戸籍)に載っているはずですが、もし申告をしていなければそれぞれの実家の家族関係証明書にバラバラに(独身者として)載っているはずですので、取り寄せ・翻訳作業が多くなり、大変になります。
また、父母に前婚者がある場合、特に腹違いの兄弟姉妹が存在する場合にはその戸籍謄本が必要になることもあります。

次に戸籍の編成時期に履歴がある場合ですが、両親の婚姻した時点まで遡って戸籍謄本を用意するよう指示される場合が多いようです。

また、父母のうちどちらかが日本人の場合、その人は当然韓国に戸籍はないわけですから韓国戸籍は不要です。(その代わり日本の戸籍謄本は必要となります)
なお、過去に日本人であって国籍離脱によって韓国戸籍を取得した人の分は韓国戸籍の除籍謄本(もしくは基本関係証明書)と日本の戸籍謄本が両方必要となります。

 

4.子の家族関係証明書

子供が載っている父母双方の家族関係証明書、もしくは韓国除籍謄本も必要です。
通常は帰化申請者本人の家族関係証明書に子として記載されているはずですが、離婚などが原因で元配偶者の証明書に入っている場合もあります。

5.兄弟姉妹
兄弟姉妹の載っている父母の家族関係証明書も必要です。
ご自身の戸籍が韓国にないからと言って兄弟姉妹の戸籍もないとは限りません。
生まれたタイミングで両親が本国に出生申告していたり、パスポートを取るために後で就籍する場合もあるからです。
異母または異父兄弟姉妹の戸籍も必要となる場合があります。
また、兄弟姉妹が韓国に戸籍を作っていない場合には後述の通り出生届出書の写しが必要となります。

[配偶者]
配偶者が載っている韓国戸籍謄本も必要です。
通常は帰化申請者本人の戸籍に記載されているはずですが、韓国に婚姻申請をしていなかったり、離婚などが原因で別々の戸籍に入っている場合もあります。

[その他]
その他、法務局が必要と判断した縁故者の韓国戸籍謄本が必要となる場合があります。
通常、帰化申請を進めて行くにつれて指示されることが多いです。

 

2.韓国戸籍謄本が見つからない場合の方法

韓国の除籍謄本は日本ほど正確にできていませんし、あるはずの戸籍がないことは少なからずあります。探しても探しても上記親族の戸籍が見つからない場合、最終手段として「戸籍がないことの証明」をしなければなりません。
このような状況でご自分で帰化申請を進めるのは非常に厳しいことが予想されますので、行政書士などの専門家にご依頼される事をお勧めします。
ただどうしてもご自分でされる場合は、韓国の役所に対してハングルで直接手紙を送りましょう。

お近くの民団に手助けしてもらう方法もありますが、かなりの手数料と溜まっている団費を要求される場合が多いようです。
韓国の役所で調査してもらったら、たいていの場合は「探したけれども見つかりませんでした」という回答が書面で送られて来ますので、日本語に翻訳して添付します。

韓国に送った際の手紙の控え・書留伝票・返信封筒は証拠として取っておきましょう。

また、「戸籍がないことの証明」により本来の戸籍謄本の提出を免除してもらう場合は追加で親族の外国人登録原票記載事項証明書や外国人登録原票の写しが必要となる可能性があります。

3.韓国除籍謄本の日本語訳

韓国除籍謄本を取り寄せたら、日本語に翻訳しましょう。
ここで注意しなければならないのは、除籍謄本の全ページを翻訳するということです。

必要と思われる部分だけを翻訳される方がよくいらっしゃいますが、それでは受け付けてもらえない可能性が高いです。
必ず発行者の印鑑等も含めて翻訳した上で、最後に翻訳者の住所・氏名を記載して押印します。

4.韓国除籍謄本の有効期限

ご自身で帰化申請を進めておられる場合、かなりの期間を要する場合が多いですが、せっかく取り寄せ翻訳した戸籍謄本はいつまで使えるのでしょうか?

ほとんどの法務局は、だいたい発給日・翻訳日から半年から1年程度は使えるという扱いになっているようです。

ただ、もちろん、戸籍の内容に変動があった場合は取り直し・翻訳し直しということになりますので、迅速に取得することが望ましいです。

韓国除籍謄本翻訳