韓国法人の日本支店設立手続きと方法

韓国は日本とも距離的に近く、日本との貿易も盛んなため、韓国企業の日本進出に伴う韓国企業の日本支社設立(子会社設立)や韓国法人の日本支店設立手続きが必要になることは少なくありません。

韓国企業の日本進出はコロナ禍の中では減少していましたが、近時、韓国企業の日本進出が増加傾向にあり、それに伴い、韓国企業の日本支社設立(子会社設立)や韓国法人の日本支店設立も増加傾向にあります。

韓国法人が日本に日本支店を設立する場合、以下のような流れとなります。

 

①韓国法人の日本支店の本店所在地を決定する

韓国の会社が日本に進出し、日本支店の設立をする場合、いきなり日本支店設立の書類作成に入るのではありません。

まずは、本店を置く予定の場所の不動産(賃貸オフィス)を決めることがスタートです。

日本には不動産会社もたくさんあり、オフィス物件は多数供給されております。

そのため、日本語が不自由なくできる韓国人の方であれば、不動産屋で気に入ったオフィスを見つけること自体は難しくないかもしれません。

しかしながら、事実上、外国法人や短期滞在で来日している日本に住所のない韓国人との事務所賃貸契約に消極的な貸主が少なくありません。

ですから、気に入ったオフィス不動産があり、これを契約したいと思っているのに、オーナーさんに断られる経験をしている韓国人の方は実は多いです。

もっとも、最近は短期滞在で来日している韓国人や韓国法人による事務所賃貸に対して積極的な業者も東京や大阪、名古屋等の都市部を中心に増えつつあります。

そして、最初の契約の段階では日本支店がまだ存在していないので、日本支店名義で不動産の契約はできません。

したがって、最初は日本支店の代表者の個人名義もしくは日本の協力者の名義で一旦契約を行います。

そして、賃貸借契約書は日本支店設立完了後、日本支店名義に変更することになります。

そして、賃貸借契約の効果は韓国の本社に帰属します。

したがって、事務所賃貸借契約時、貸主と会社設立登記完了後に個人名義から法人の名義に変更することをきちんと合意しておきます。

この際に必要なのは、契約書の書き換えのみで、不動産業者にとっては大変な作業ではありません。作業代としても2,3万円までかと思います。

しかし、不動産業者によっては、日本の事情を知らない外国人が相手なので、名義変更料と称して賃料の1ヶ月~2ヶ月分など多額の金額を請求してくることがあるのでご注意ください。

 

②外為法に基づく事前届出の要否の確認

韓国法人の日本支店設立の場合は、日本の子会社設立の場合と異なり、日本子会社の場合に「事後」にのみ届出が必要な業種の場合は届出は不要です。

しかし、「事前届出」が必要な業種を事業として行う場合については事前の届け出が必要です。

そのため、行う事業によって、外為法に基づく、財務大臣(日本銀行経由)と事業を所管する大臣への届出が必要なのかと所管がどの省庁(大臣)なのかを確認する)ことが必要です。

近時は技術情報の流出などの事件が起こっておりますので、国も厳しく対処するようになっておりますので、該当業種の場合は、きちんと届け出を行うようにしてください。

 

 

③韓国法人の日本支店の代表者の選定

韓国日本支店の代表者は、中国の親会社の代表者である必要はありません。

また、日本支店の代表者を複数選任する場合は、そのうち何名かを日本に在住していない外国人を選任することも可能です。ただ、複数の日本支店の代表者の内、少なくとも、1名は日本に居住する者の必要があります。法改正で日本子会社を設立する場合については代表取締役のうち少なくとも1名が日本の居住者である必要はなくなりました(とはいえ、実務上は非居住者が役員及び株主のみの子会社設立(韓国法人の日本支社設立)はあまりおすすめできないことが多いです)が、日本支店の代表者のうち1名は日本居住者であることが条件なので、ご注意ください。

 

④宣誓供述書(AFFIDAVIT)の作成

日本支店の設立に必要な事項を本社の代表者が宣誓供述し、書面化します。

この宣誓供述書の作成は原則としては韓国の公証処で行います。

ただ、どのような内容が必要かは会社組織によっても異なりますので、専門家と相談しつつすすめていくことをおすすめいたします。

 

⑤韓国法人日本支店の設立登記

必要書類がそろったら、日本支店設立の登記を事務所を設置する住所地を管轄する法務局にて登記申請します。 登記上の商号は、海外法人である親会社と全く同じ商号で登記しなければなりません。OO法人日本支店といった名称での登記をしたい、という要望がありますが、これは認められませんのでご注意ください。なお、子会社であれば別法人なので株式会社OOJAPANなどの商号は可能ですので、どうしてもブランド上商号に日本支社のイメージをつけたい場合は、子会社にする必要があります。

 

⑥日本支店設立後の各種届出

日本支店を設立した後に、税務署、労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所への届出等が必要です。

特に、税務署への届け出は遅れると税法上の特典がなくなるものもありますので、早めに提出してください。

 

⑦派遣外国人の在留資格(ビザ)の申請

本国から設立後の日本法人にその代表取締役など外国人を派遣する場合、ビザ(在留資格)の申請手続きをします。

申請準備に時間がかかるので、設立後にあわてて書類を準備するのではなく、日本支店設立手続きと並行して準備を進めます。

申請の時点で、もしも日本に日本支店の日本在住の従業員が存在していれば、その者が代理人となってビザの申請を行うことが可能です。

しかし、日本法人の従業員がまだいない場合(このような場合がほとんどのケースかと思います)では、来日予定の外国人がとりあえず短期ビザで来日して、自ら入管に申請をします。

もしくは、我々のような行政書士事務所への依頼も可能です。

 

⑧ビザが許可、事業開始

通常1~3ヶ月の審査期間を経てビザが許可されたら、事業を開始します。

 

日本支店設置後の事業運営の注意点

日本支店はあくまで中国の本社の手足のような存在ですので、韓国の本社と同一の事業しかできません。

したがって、韓国で貿易業が事業目的となっている会社が日本支店では別事業の飲食店を行うというようなことはできません。

ですから、もし新事業で日本に進出する場合は株式会社や合同会社を別法人として立ち上げることが必要になります。

 

当事務所のサービス・費用

当事務所では、日本進出をお考えの中国の方のため、外国会社の日本支店設立に必要な手続きを代行致します。

日本の拠点選択・拠点設置に必要な要件、日本進出の時期、外国人の方のビザの問題などの日本支店設置までに検討すべき事項の確認から、必要書類のご案内、書類作成・申請手続きまで、日本支店設立に必要な手続きをサポート致しますので、安心してご依頼ください。

(標準費用)

1.韓国法人日本支店設立代行サポート:20万円+税

※登録免許税は別途9万円必要です。

2.韓国法人日本支社設立代行(子会社設立)サポート:25万円+税

3.外国人在留資格(ビザ申請):15万円~(※個別見積もり)