韓国の家族関係証明書とは:制度の概要と取得のポイント
1. 家族関係証明書とは
韓国の「家族関係証明書(가족관계증명서)」は、個人を中心に家族との法的な関係を証明する公的書類です。
日本で言えば「戸籍謄本」に近い役割を持ちますが、現在の韓国では「家族」ではなく「個人単位」で作成される点が大きく異なります。
この証明書は、韓国の「家族関係登録制度(가족관계등록제도)」に基づいて発行されます。2008年に旧戸籍制度(호적制度)が廃止され、家制度を前提とした記録から、個人を中心とする近代的な登録制度へと移行しました。その結果、「家族関係証明書」は、個人が自分の出生、親子関係、婚姻関係などを公的に証明するための主要書類となっています。
2. 記載内容と構成
家族関係証明書には、主に以下の情報が記載されます。
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本人の氏名、生年月日、登録番号(住民登録番号)
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両親の氏名および生年月日
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配偶者(結婚している場合)の氏名、生年月日、婚姻日
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子供の氏名、生年月日、出生登録日
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養子関係(該当する場合)
つまり、この書類を見れば、個人とその直系家族(親・配偶者・子供)との法的関係が一目でわかる構造になっています。
なお、兄弟姉妹や祖父母など、法的に直系でない親族は通常記載されません。これは、家制度を廃止した「個人単位登録」の理念に基づくものです。
兄弟姉妹関係は父母の家族関係証明書を通じて証明することとなります。
3. 発行の種類と用途
家族関係証明書は、発行目的によって**「基本型」「詳細型」**の2種類に分かれます。
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基本型(일반용):一般的な行政手続きや身分証明で使用。
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詳細型(상세용):相続や裁判などで、より詳細な履歴(改名、養子縁組など)を確認する際に利用。
主な用途は以下の通りです。
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婚姻、離婚、出生などの手続き
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相続や不動産登記
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国籍取得・喪失の確認
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海外ビザ申請や在外公館での身分確認
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日本での法的手続き(結婚、相続など)
特に、日本に住む韓国籍者が日本で結婚届を出す場合、韓国の家族関係証明書(および婚姻関係証明書)が必要になることがあります。
4. 取得方法
家族関係証明書は、韓国国内外で容易に取得できます。
韓国国内の場合
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**政府24(정부24)**という電子行政サイトで、本人確認後にオンライン発行可能。
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住民センター(주민센터)でも発行可能。
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代理人による申請も可(委任状が必要)。
海外の場合
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在外公館(韓国大使館・領事館)で申請。
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オンラインシステム「대법원 전자가족관계등록시스템(大法院電子家族関係登録システム)」を利用して発行。
発行言語は原則として韓国語ですが、日本など外国での提出が必要な場合は、**英語または日本語翻訳+公証(アポスティーユ)**を添付して利用します。
5. 個人情報とプライバシー保護
家族関係証明書は、個人情報の集約された重要書類です。そのため、発行対象や閲覧範囲が厳しく制限されています。
原則として、以下の人のみが発行できます:
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本人
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本人の配偶者
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直系尊属(両親)または直系卑属(子供)
他人が勝手に取得することはできず、違反すれば個人情報保護法に基づいて処罰されます。
また、証明書には発行日と識別番号が付与され、行政機関や裁判所で真正性をオンラインで確認できるようになっています。紙媒体の改ざん防止措置も取られており、安全性が高いのが特徴です。
6. 日本の戸籍謄本との違い
| 項目 | 日本の戸籍謄本 | 韓国の家族関係証明書 |
|---|---|---|
| 登録単位 | 家族単位 | 個人単位 |
| 記載範囲 | 同一戸籍の全員 | 本人+直系家族のみ |
| 管理機関 | 市区町村役場 | 大法院(最高裁)系列の登録機関 |
| 発行方法 | 市区町村で申請 | オンラインまたは住民センター |
| 戸主制度 | 戦後に廃止 | 2008年に廃止 |
韓国では個人中心の制度へ完全に移行したため、他の家族の情報を含まない、プライバシーに配慮された証明書となっています。
家族関係証明書翻訳費用
家族関係証明書翻訳費用:¥3300
家族関係証明書取寄せ費用:1請求あたり¥33000~(※相続の場合は5万円~)
料金は1本籍あたりですので、家族分をまとめてご依頼いただいたほうがお得です。相続の場合は個別見積もりとなりますので、お問い合わせください。
※実費は別途となります。


